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アメリカコース 教員

二村 太郎(フタムラ タロウ)

二村 太郎
英語表記 Taro FUTAMURA
職名 准教授
研究者情報 研究者データベース

学生へのメッセージ

 グローバル地域文化学部は、「経済学部」や「文学部」のように既存の学問分野に従って学ぶところではありません。しかしながら、世界でみられる(あるいは起きようとしている)何らかのテーマについて学んでいくためには、多くの場合一つの学問分野で納まらない、横断的な視点と柔軟な思考力が求められます。例えばある国の都市におけるエスニックコミュニティ(少数派の人々が集住して生活する地区)について学ぼうとすると、それらの経済・文化的な活動の特色だけでなく、エスニック集団独自の文化や人口移動の歴史、ホスト社会における地域コミュニティとのつながり、世代間の就業変化など、検討すべきテーマはたくさんあります。その中には差別への抵抗や、対立から融和へのプロセスなど、教科書には出てこない独自の複雑な背景が関係していることも珍しくありません。本学部で学ぼうとする皆さんには、世界に関する様々なテーマについて、多様性を意識しながら幅広く学んでもらえることを願っています。
 同志社大学、またグローバル地域文化学部で学びたいと考えている皆さんに期待したいのは、「これに関心がある!」というものを一つ見つけて/持ってもらうことです。それは自分が今までに学んできたことの延長でも構いませんし、趣味に関連することでも構いません。また、それは時間や場所と共に変化するかもしれません。しかし、どのようなものであるにせよ、「関心がある!」というものにこだわりを持って学ぶことで、自らの姿勢も変わってくるでしょう。
 私も研究関心は留学を境に大きく変化しましたが、その根底には「地理学は面白い!」「アメリカ合衆国を含め、世界についてもっと知りたい!」という思いがずっとあり、今の人生に至っています。意欲とこだわりのある多くの方と本学で大いに議論し、時には共に現地を歩きながら学ぶことを楽しみにしています。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 千葉県浦安市出身。父親の勤務事情により、小学校6年生から高校1年生の途中までアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ郊外に住んだ、元・帰国生。帰国後に日本国内の高校・大学学部を卒業し、大学院修士課程を経て、2001年夏よりアメリカ・ケンタッキー大学大学院へ留学。6年半の勉学の末に、博士号を取得して留学生活が終了。帰国後は関東圏の諸大学で地理学やアメリカ合衆国に関する様々な講義を2年間担当し、2010年より同志社大学アメリカ研究所助教に着任。2014年にグローバル地域文化学部へ転籍し、2016年より准教授へ昇任、現在に至る。
 高校・大学学部時代はバスケットボール部に所属していました。現在は残念ながらバスケをプレイする機会が少ないため、朝に賀茂川沿いや御所周辺を走って体調維持に努めています。食べることも飲むことも大好きですが、若い時に比べてすぐに体重が落ちなくなったのが悩みの種です。また、農業に関係する研究を始めてから、庭先のプランターで様々な野菜を育てることに挑戦しています。幼い頃から世界各地で何が起きているかへの関心が高く(地理学教室出身の地理好き)、日頃から様々な記事を読んでいることはもちろんのこと、仕事や私用で訪問する先への渡航・滞在計画を立て、訪問先で絵葉書を収集し、そして各所で景観写真を撮影することを日頃から楽しんでいます。私のクラスでは、実際に自分で撮影した写真を使用しながら講義を行っています。

研究内容

 主な研究分野はアメリカ合衆国の農業と食をめぐる社会地理学(ローカルフード運動、都市農業の進展、コミュニティフードフィスティバル)、アメリカ地理学史など。また、アメリカ社会で大きな影響力を持つプロスポーツや大学スポーツ、アメリカ国内各地で成長を続ける地ビール産業や小規模地域の農業生産、地域ブランド化が進むバーベキュー料理などにも関心を持っています。
 合衆国は世界随一の農業国と言われ、大規模な農地で機械化の進んだ穀物生産や牧畜業の展開がイメージされがちですが、実際には小規模農家がアメリカ全体の7割近くを占めています。合衆国では農業や食品関連を広く扱う多国籍企業(アグリビジネス)の影響力が強くなりすぎたこともあり、小規模農家の復権や地域の農産物を奨励する動き(ローカルフード運動)が、この十数年で地域社会に根づいていきました。近年はさらに、貧しい人や困難な立場にある人にも等しく食がもたらされることを目指した動き(食の正義運動)が進展しています。とはいえ、広大な国土を有する合衆国は自然環境も地域文化も多様であり、人々の生活も経済基盤も州や市町村によって大きく異なります。農業と食をキーワードに合衆国の多様性と地域社会の変化を理解していくことが私の研究課題です。
 高校卒業時は教師になることを目指し、学部時代を教育学部(社会科専攻)で過ごしたことから、合衆国内だけでなく様々な地域で起きている事に関心を持っています。普段の授業や学生指導でも、世界各地の様々な事象に関して、地域の背景や文脈などと結びつけながら考えていくようにしています。

主要業績

  • 二村太郎 2020.拡大するアメリカ合衆国の都市農業とその課題.日本不動産 学会誌 34(1):32-37.
  • マーク・ジェイン、サラ・ホロウェイ、ジル・ヴァレンタイン著、杉山和明、 二村太郎、荒又美陽、成瀬 厚共訳 2019.『アルコールと酔っぱらいの地理 学:秩序ある/なき空間を読み解く』明石書店.
  • 杉山和明・二村太郎 2017.英語圏人文地理学における「酒精・飲酒・酩酊」に関する研究動向―日本における今後の事例研究に向けて―.空間・社会・地理思想 20: 98-107.
  • 二村太郎 2015.人口減少下のデトロイトにおける都市農業の発展とその課題.同志社アメリカ研究 51: 47-65.
  • 二村太郎 2013.「「ローカル」な資源の探求:アメリカ・ケンタッキー州におけるローカルフード運動の勃興」横山 智編『資源と生業の地理学』(ネイチャー・アンド・ソサエティ研究 第4巻)海青社,pp. 295-316.
  • 二村太郎 2011.「豊かな国の貧困と不平等」矢ヶ崎典隆編『世界地誌シリーズ4:アメリカ』朝倉書店, pp. 114-126.
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