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アジア・太平洋コース 教員

阿部 範之(アベ ノリユキ)

阿部 範之
英語表記 Noriyuki ABE
職名 教授
研究者情報 研究者データベース

学生へのメッセージ

 グローバル地域文化学部は、アジアやヨーロッパ、南北アメリカ、といったある地域の文化、または文化の摩擦や人の移動など、世界が共有する具体的な問題に対し、既に強い関心を持っている学生にとって、充実したカリキュラムが用意されている学部です。ただしこの学部は、まだ漠然とした興味や関心しかない学生も大いに歓迎します。むしろ、これまで海外にあまり目を向けていなかった人であればあるほど、日本とは異なる価値観や思想に触れることで、多くの発見や知的興奮を得ることができるのではないでしょうか。
 大学生活において未知のことに多く触れ、紆余曲折を経ながら自分の進むべき道を見出す過程というのは非常に有意義なものであり、大学における学びの一つのあり方だと私は思います。私自身、今の専門の研究をしようと決めたのは、大学生活も終わりかけの頃でした。大学一年生の時に、北京での一カ月の中国語研修旅行に参加したのが中国に興味を持ったきっかけでしたが、大学の学部時代の専門は全く別のものでした。それが趣味の一環として中国のフィルムを鑑賞した時にふと、中国映画には欧米や日本とは異なる独特の歴史的背景があるのではないか、という思いが生まれたのです。それは大学四年生のことでした。
 皆さんも何がきっかけで自分の将来が開けてくるか分かりません。何かを面白いと感じる気持ちを大事にして、多くの本に出会い、自分の足や目、耳で異文化に触れる機会を多く持つことをお勧めします。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 2006年から京都で暮らしていますが、もとは東京生まれの東京育ちです。大学時代は映画を見たり、小説を読んだりして過ごす毎日でした。人類学のゼミに所属していましたが、自分には文芸研究の方が合っているのではないか、と感じたこともあって方向転換し、今に至っています。現在、映画鑑賞は仕事の一環になってしまい、時には退屈なフィルムに辟易することもありますが、映画の可能性を感じさせてくれる優れた作品と出会った時の喜びには、やはり格別のものがあります。
 私は中国映画を専門としており、その関係で、大学院時代に上海に一年半留学したほか、2020年8月から2021年3月までは、台北で研究活動を行いました。どちらの都市も、活気のある刺激的なところで、有意義な時間を過ごすことができました。多様な文化に触れることは楽しく、また知的興奮にも満ちたものですので、早く自由に世界を行き来できる状況になることを心から願います。

研究内容

 中華人民共和国を中心に、中華圏の映画を主要な研究対象としています。これまで、フィルムの映像上の特徴に注目し、文献調査も行いながら製作者たちの意図、さらには映画をとりまく政治や社会の動きをも読み解いていく、といったやり方で、中国映画史の実像に迫ろうとしてきました。かつては、中華人民共和国が建国された1949年前後から1980年代までに作られたフィルムに焦点を当てていましたが、現在は、2000年代以降の中華圏における映画の動向全般に関心を向けています。
 中華人民共和国では、経済成長とともに、映画産業も巨大化していますが、映画史をひもとけば、その道のりは平坦なものではありませんでした。共産党政権の成立から社会主義化、文化大革命、そして市場経済の導入、さらにグローバル化の進展、という中国の政治、経済、社会の変容は、映画のあり方にも大きな影響を与えてきました。その一方、かつては独立性が高かった中国、台湾、香港の映画産業は、今やその境が曖昧となり、経済的なつながりが強まったほか、人的交流も盛んです。また東アジアを視野に入れれば、中華圏と日本、韓国の映画の関係も深まる傾向にあります。
 過去を振り返ると、国家という枠が映画の歴史に大きな影響を与えてきたことは、まぎれもない事実です。しかし映画ないし映像には、言語や文化の違いを越えたコミュニケーションが可能な部分も確かにあります。私はそうした二つの角度から中華圏の映画のあり方に注目しています。

主要業績

  • 「グローバル化する東アジア映画と鍾孟宏監督作の中の家族」(『中国21』Vol.59、2023年12月)
  • 「主旋律/IP映画としての『タイガー・マウンテン』―2010年代の徐克監督作を巡って―」(『GR―同志社大学グローバル地域文化学会 紀要―』第19号、2022年10月)
  • 「二〇〇〇年代以降の台湾映画における中台市場への眼差し―金馬奨、文創、新型コロナを巡って―」(『ユリイカ』第53巻第9号、2021年8月)
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