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アジア・太平洋コース 教員

副島 一郎(ソエジマ イチロウ)

副島 一郎
英語表記 Ichiro SOEJIMA
職名 教授
研究者情報 研究者データベース

学生へのメッセージ

 中国は戦国時代の話です──趙の都・邯鄲(かんたん)に行った燕の人が、邯鄲の人々の歩く姿が美しいのを見て羨ましく思い、懸命に真似ようとした。しかし、その結果は、上手く真似られなかったばかりか、自分本来の歩き方まで忘れてしまい、這って帰らざるをえなくなった──何かが良いように、或いは有利であるかのように見えると、誰も彼もがそうありたいと思い、次第にそうでなければならないと強迫観念に駆られることがあります。それは個人のみならず、社会・国家でも起こるのではないでしょうか。狂気は個人にあっては稀だが、社会・国家にあっては常のことだという意味のことを西洋の哲人が述べています。
 溺れる者は藁をもつかむと言います。現代のような先行きの見えない不安な時代に生きていると、私たちはとかく手っ取り早く安心したくなります。怪しげな救いの教えを信じるばかりではなく、都会の最新流行に乗っかるのも安心の一方便です。とりあえず安心はできるかも知れませんが、それが自分に似合うかどうかは別の話です。そもそも乗っかっている限りは自分のものでなし、いずれまた別の流行を追わねばならなくなる、としたら、いつも流行遅れになるまいと汲々とせねばなりません。
 別に都会に背を向けよと言っているわけではありません。そもそも街に出かけなければ、友達もできなければ、生活必需品も手に入りません。都会の動向にも気を配りつつ、わが地域の自然の美しさ、生活の良さも失わず、自分らしく暮らしたいなと思うのです。ただそれには智慧が要ります。都会化の波に呑み込まれず、都会と上手につきあうには、わが地域と都会との関係性を知らねばなりません。わが地域の存在価値を都会に認めてもらうには、地域の良さがどこにあるのかもシッカリわきまえて、都会のために貢献することも必要でしょう。自分らしく幸せに暮らし、都会の友人にも幸せになってもらうため、私も微力を尽くしたいと思います。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 今までいろんな街に住んできましたが、京都と上海に住まなければ今の人生はぜったいにありえませんでした。その意味で、原点であり転折点となった街です。いずれの街でも現代の流行とは一線を画して、不易の価値あるものに目を向けさせてくれた人々に恵まれて幸せだったと思います。とくに私が留学していたころの中国はまだまだ古き良き時代で、目先の成果など気にせず、気の向くまま中国の各地を見て回ることができました。ただし金はなかったので、貧困な農村青年に間違われたり、中国人だと偽って解放軍兵士と同宿させてもらったり(既に時効)の旅でしたが、贅沢旅行では得られない経験をしたと思います。
 趣味は四十の手習いで始めた囲碁。子どものための囲碁教室に通って、小学生にコテンパンにやられては発奮するのがむちゃ楽しい。ただ今碁敵募集中です。

研究内容

 専門は中国古典学です。唐代散文の研究から出発し、近年はとくに宋代の散文および易学と道敎に力を入れています。宋(日本では平家・源氏ら武士階級が成長し権力を確立する時期にあたる)は、それまでの中国社会から大きく変化していきますが、その要因となったと考えられるのが、散文と易学と道敎です。この三つが宋および後世の中国・日本に及ぼした深く広い影響を研究しています。

主要業績

  • 『気与士風──唐宋古文的進程及背景』(上海古籍出版社)
  • 「范仲淹的学問及其振興文教主張中的道敎因素」(中国人民大学国学院『国学学刊』)
  • 「日本江戸時代中国文章論的接受及其展開」(『中華文史論叢』上海古籍出版社)
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