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ヨーロッパ地域 教員一覧

中井 敦子(ナカイ アツコ)

英語表記Atsuko NAKAI
職名教授
主な担当科目ヨーロッパ地域文化論1(フランス語圏の文化)、
フランス語関連科目
所属コース名ヨーロッパコース
研究者情報研究者データベース「研究者情報」(オリジナルサイト)
中井 敦子

学生へのメッセージ

 グローバル地域文化学部では、地域研究のための必須の条件として外国語習得が重視されています。これは、聞き話せさえすればよいという「道具」的な語学習得ではなく、文法の仕組みを把握し、読解力と表現力を身につけようとするものです。文化とは何よりも先ず言葉なのです。人間は、言葉の編み目を通して世界を認識する存在であり、言い換えるなら、言葉なくして世界は在りません。
 また、外国の言葉や文化を学ぶのと同時に、母語や母国の文化を大切にし、きちんと学び直してください。母語は生まれてからずっと使ってきているのだからもう完璧、などと思い込むのは大間違いで、外国語を学ぶことを通して、母語の言語感覚や論理構築能力も養わねばなりません。また、大学の講義をとおして、あるいは留学などして現地で外国の文化と接することによって、自分がその中で育った母国の文化を捉え直し、自分はどんな存在で何を求めるのかを考えてください。そして、外国語であれ、母語であれ、論理的、批判的に物事を捉え、自己表現できることを目指してください。
 さらに、就職のような目先の目標には一見役に立たないように見えるかもしれない様々なもの、それは言葉による芸術であったり、造形芸術であったり、あるいは音楽であったり様々ですが、こういう「教養」を軽視しないでください。学んで得た知識はあなたがたの中で積もり、発酵し、あなたがた各自の「歴史」と絡み合って、他の誰とも異なる栄養つまり教養になります。そして、たとえば、たまたま見かけた日常的風景が、たった一枚の写真が、想像力の連鎖の作用を受けて遥かな時空間に広がることもあるのです。人間の寿命はせいぜい80年くらい、その間にできる体験もごく限られています。しかし、豊富な知識に基づく想像力は、それを800年、8000年にすることもできるかもしれません。学びとは、人間の運命づけられた死との拮抗でもあるでしょう。
 新しい言葉の習得は、あなたがたそれぞれにとっての新たな現実を生み出し、一人一人の時間と空間を果てしなく広げる一歩です。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 大学入学時にフランス語を学び始めました。当初は、哲学系の勉強がしたくてドイツ語も同時に始めました。混乱することもなく、それぞれの知識が学習上相乗効果を生んだように思います。しかし、フランス語の文法システムにより強く惹かれたこと、小学生の頃からフランスの小説を翻訳でよく読んでいたことなどが相俟って、フランス文学を専攻することになりました。初めてフランスに行ったのは大学4年のときに旅行で1ヶ月、その後2回留学しました。大学院博士課程でパリ第4大学に1年、職についてからフランス国立科学研究センターの研究員を兼ねてパリ第7大学に1年、どちらも博士課程への留学です。これ以外にも頻繁にパリと京都を往復してきました。
 フランス文学で最愛の作品はマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』です。読んでいていちばんほっとする、というか全くの異物感なく沁みわたってくるのは日本の文学、とりわけ平安時代の物語、日記や和歌です。あと、明治以降では中原中也の詩、三島由紀夫の小説とくに『春の雪』が好きです。音楽・演劇関係では、観て聴いてしっくりくるのは文楽(人形浄瑠璃)です。けれども、ヨーロッパの音楽、とりわけモーツァルト、ベートーベン、ブラームス、ワグナー、ショパン、リストの作品は好んで聴き、演奏会にも足を運ぶことが多いです。
 近頃は数学に興味が湧いて、ささやかな一歩として、高校時代に習ったことを復習しています。物理学の歴史も学んでいます。
 大正から昭和初期の着物が好きで、いつのまにかずいぶんと集まってしまいました。たいへんな動物好き(とくに猫)でもあります。

研究内容

 19世紀後半のフランス文学、とりわけギュスターヴ・フロベールやエミール・ゾラの散文作品を中心に、空間性と意味の構造との連動関係を論じてきました。ヨーロッパの19世紀(フランスではとりわけ第2帝政から第3共和制)は、写実主義・自然主義文学の最盛期であると同時に、他分野の芸術(とりわけ映像芸術)、建築、都市計画、経済、科学など諸領域において、個々の孤立した点からネットワーク形成へ、静止区分からエネルギッシュな流動への変化が顕著にあらわれた時代です。この時代の小説は、どれも、程度の差こそあれ、こういう変化を体現しています。私は博士論文(1998年パリ第7大学)において、エミール・ゾラの『ルーゴン・マカール叢書』(1871〜1893)に焦点を絞って、この作品群(長編小説20巻)が、流動化する現実を克明・忠実に言葉で再現しているのみならず、描写における意味の構造と物語の生成においても流動性を内包していること、そしてこのダイナミズムは20世紀の哲学や言語学とも繋がっていることを論じました。現在は、日本の同時代(明治から大正期)の文学に関心を持って、日本の文学研究に新たな光をあてるべく、模索中です。

主要業績
  • 翻訳:『獲物の分け前』(エミール・ゾラの『ルーゴン・マカール叢書』中の第2作La Curéeの翻訳)、筑摩書房、2004年5月、459頁。
  • 単著:Du Point au Réseau — L'espace architecturé dans Les Rougon-Macquart d'Émile Zola(単著、フランス語), Éditions Universitaires Européennes, Sarrebruck, 2011年2月、296頁。