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イベント

グローバル地域文化学会小規模講演会開催のお知らせ

2025年1月6日 更新

このたびグローバル地域文化学会および海域アジア史研究会との共催にて下記の講演会を開催いたします。企画の目的は、近年歴史学・歴史教育界で多用される「ユーラシア東部」とは何を指すのか?描き出そうとする歴史世界とは?専門家を招いて議論し理解を深めるためです。「東洋=オリエント」や「東アジア」という地域設定の限界が指摘されるなか、「中央ユーラシア」という枠組みが登場し、遊牧民の視点から世界史像が刷新されました。さらに近年では、遊牧地帯と農耕地帯をともに包含し、さらに海域世界をも視野におさめる「ユーラシア東部」という地域概念が歴史学界・教育界を席巻しています。今講演会では「ユーラシア東部/東部ユーラシア」について最近の論文その他で論じておられる荒川正晴・伊藤一馬両氏をお招きしてお考えをうかがい、理解を深めたいと思います。つきましては皆様、奮ってご参加くださいますようお願いいたします。

参加ご希望の方は下記URLにて事前参加登録にご協力ください。



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同志社大学グローバル地域文化学会・海域アジア史研究会共催講演会

「ユーラシア東部」とは何か?―初期グローバル化の世界史の観点から― 


日時:2025年2月1日(土)午後1時~5時

会場:同志社大学 烏丸キャンパス 志高館SK118

(キャンパスマップ24番の建物の1階正面左側のドアから入ってすぐ)


報告:荒川 正晴 東洋文庫/研究員

   ユーラシアの初期グローバル化と東・西の空間設定


   伊藤 一馬 日本大学法学部/専任講師

   「東部ユーラシア」の現在と「宋代中国」


コメント:山内 晋次 神戸女子大学/教授

    矢部 正明 関西大学中等部・高等部/教諭


報告要旨:

ユーラシアの初期グローバル化と東・西の空間設定-荒川正晴 

近年のグローバル・ヒストリーの議論においては、近現代以降の時代だけでなく、前近代におけるグローバル化の問題にも関心が注がれるようになっている。とりわけ前近代のグローバル化を初期グローバル化と捉え、モンゴル帝国期までのグローバル化の動きについて検討が進められている。こうした動向と関わって、前近代の陸域だけでなく海域世界も含めたユーラシアの広域的空間を、どのように区分してその歴史を捉えるかという問題も重要になってきている。とくに近年、盛んに用いられている「ユーラシア東部」あるいは「東部ユーラシア」は、高校世界史でも重要な地域世界の一つとされる「中央ユーラシア世界」を東西で切断するかのような空間設定となっており、このように設定することにどのような意義があるのか、積極的に説明する必要が出てきている。本報告では、「ユーラシア東部」の具体的な空間的な広がりと、それを設定することの意味を明確にするとともに、紀元前後よりモンゴル帝国期までの時期に当該地域においてグローバル化がどのように進展してきたのか、そのプロセスを提示してみたい。


「東部ユーラシア」の現在と「宋代中国」-伊藤一馬

近年の学界では、13・14世紀のモンゴル帝国時代を「初期グローバル化」の時代と捉えようとする視点が注目されている。当然ながら「初期グローバル化」時代はモンゴル帝国によって突如到来したわけではなく、その先行する時代にも目を向ける必要がある。10~13世紀のユーラシア大陸東方域の歴史展開については、近年の研究によって中央ユーラシア・東アジア・東南アジア・海域アジアを包含した、広域のつながりが指摘されている。このような潮流の中で、「東部ユーラシア」(ユーラシア東部・ユーラシア東方などとも)という空間的枠組みを設定することの有効性が提起されており、歴史研究・歴史教育の場でもその存在感を増していると言えよう。しかしながら、そのいっぽうで「東部ユーラシア」とそれを取り巻く学界動向・研究潮流に起因する混乱・困惑も小さくないと思われる。また、「東部ユーラシア」という視点に対して、特に中国史研究からの反応が極めて乏しいなど、学界に定着しているとは言い難いのも事実であろう。

このような現状を踏まえ本報告では、まず、「東部ユーラシア」とそれを取り巻く状況を整理・紹介する。次に、10~13世紀すなわち宋代の「中国」の位置づけを考えるうえでの「東部ユーラシア」という視点の有効性を検討したうえで、「初期グローバル化」時代の形成を展望する。最後に、「東部ユーラシア」という地域設定を積極的に使用する第一学習社『世界史探究』教科書に関わった立場から、その意図や課題について言及したい。


以上

烏丸キャンパス

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参加ご希望の方は上記URLにて事前参加登録にご協力ください。
お問い合わせ

同志社大学グローバル地域文化学部    向 正樹

E-mail:mmukai@mail.doshisha.ac.jp