アジア・太平洋地域 教員一覧

向 正樹(ムカイ マサキ)

向 正樹
英語表記Masaki MUKAI
職名准教授
主な担当科目グローバル地域文化発展セミナーⅠ・Ⅱ、
グローバル地域文化専門セミナーⅠ・Ⅱ、
アジア・オセアニア地域の歴史1(ユーラシア)、
卒業論文、
中国語関連科目、
所属コース名アジア・太平洋コース
研究者情報研究者データベース

学生へのメッセージ

 数年というタイムスパンで、そのさき数十年この世界の中で生きていく「自分」をビルドアップする、ということについて考えてみる。いまの時代、世界は地球大―グローバル―だ。しかし地球大の塊まりはそのままでは漠としすぎている。ならば、世界のいくつかのパーツをとらえ、全体と部分とがどうひとつにつながっているか眺めてみる。
 2020年、中国を襲った新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界中を飲み込んだ。世界中の都市がロックダウン下におかれ、病院が患者であふれ、学校が閉鎖され、仕事も授業もオンラインになった。国境が閉ざされ、往来が途絶え、人びとの分断がクローズアップされた。一方で、感染症との闘いの最前線に立つ医療従事者や隣接するマンションの住民同士、その他、会ったこともない人たちに向け、色んな方法でエールが送られ、人と人の確かな繋がりを示すニュースもインターネットやTVのネットワークを飛び交った。未知のウイルスの猛威の前に人々がグローバルに連帯した瞬間であった。
 あの日、「自分」の生きる世界はたしかにグローバルな姿を顕わした。しかし、世界はけっして一枚岩にはならない。かといって完全にバラバラでもない。政治にしても経済にしても文化にしても、世界はいくつものまとまりからできているのだ。これらのまとまりに地域文化というラベルをはりつけてみる。その内側にはゆうに数百~数千年の時の蓄積が横たわる。グローバル地域文化学部の毎日は忙しそうだ。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 小学校時代、大河ドラマに影響され源義経の時代に関する本を読み漁る(とくに成美堂出版『物語と史蹟を訪ねて』)。高校時代、モンゴルの民主化とチンギス・ハンの復権について知る。当時、アメリカンロックスピリットに触発され管理教育に反発していた私は草原の民―カウボーイ―の自由な生き様に共感を覚え、モンゴル帝国の研究を志す。職業イメージはインディ・ジョーンズだ。
 かくして私は騎馬遊牧民の研究で名高いとある東洋史学研究室に飛び込んだ。そこは厳格な規律で鳴らすスパルタ道場だった。しかし自由は死せず、パーソンズの社会システム論に影響された異質な修士論文も受理され、テュニジアのブルギバスクールや中国の中央民族大学、北京大学での短期・長期留学、パリ研究滞在等、海外武者修業も後押しを得られた。
 いつしか、私は海域アジア史という組織にいた。"極限に生きる"冒険屋の集団だ。歴史教育、グローバル・ヒストリー、とフロンティアを手当たりしだいに荒らしまわり、次々人をさらっては我流グロービッシュで国際学会に"特攻"させる。―兵は甚だしく陥れば則ち懼れず― 遍歴のすえ、教育への確信を手にした私がここにいる。

研究ブログ
向 正樹(Masaki Mukai)-研究ブログ-researchmap(外部サイト)

研究内容

 私はこれまで海域アジアのイスラムについて研究してきました。海の交易ネットワークに淵源するコミュニティがその後どのような変遷を経たのかを明らかにすることは、移動の人類史に現在を位置づけ、さらに数百年先を考えることにも繋がると考えています。
 もうひとつの専門として、世界人類が共有する「われわれの歴史」としてのグローバルヒストリー構築にも取り組んでいます。この分野は、歴史学と様々な分野との協力により環境、気候変動、動植物、ヒト、モノ、カネなどあらゆるものを扱います。そこでは高校・大学の教員がともに議論に加わります。私が知り合った若い高校教員は、グローバルヒストリーの国際学会に参加し、英語で世界の学者や教育者と情報交換を行っています。地歴科教員免許取得可能なグローバル地域文化学部からもそうした世界を舞台に活躍する次代の教員が生まれることを願っています。
 私はまたグローバルヒストリーの知見を平和学に活かすことに関心があり、日中韓の歴史学や平和学の対話に参加してきました。こうしたグローバル・ヒストリーや平和学の現場にかかわりながら、最新の動向を講義を通じて伝えることができればと思います。

主要業績
  • 「第7章 バウンドする伝播のネットワーク―ウマ、火薬兵器、蒙古襲来―」秋田茂・桃木至朗編『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育―日本史と世界史のあいだで―』(大阪大学出版会、2020年)
  • 「第2章 モンゴル帝国と中国沿海部のムスリム・ディアスポラ―アラビア語墓碑にみえる聖伝承より―」鈴木英明編『東アジア海域から眺望する世界史―ネットワークと海域―』(明石書店、2019年)
  • “‘Muslim Diaspora’in Yuan China: A Comparative Analysis of Islamic Tombstones from the Southeast Coast” Asian Review of World Histories 4-2 (2016年)