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アメリカコース 教員

村川 淳(ムラカワ アツシ)

教員紹介写真(村川淳先生)  (111295)
英語表記 Atsushi MURAKAWA
職名 助教
研究者情報 (作成中)

学生へのメッセージ

 ラテンアメリカの山奥、あるいは密林の中でフィールドワークを行っています。南米大陸にある調査地までは、航空機を乗り継いで1日以上はかかります。
 このような説明を聞くと「何故、そんなに遠い場所に出かける必要があるのか」と不思議に思うかもしれません。ひょんなきっかけでペルーに通い始め、そのままずぶずぶと深入りしながら、20年以上の歳月を過ごしてきました。南米というと貧困、暴力、麻薬など深刻な社会問題が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、来る者をやんわりと迎え入れてくれる間口の広さは、現代日本社会では考えられない奥行きを持っています。苦境、社会的混乱の中にあっても前を向き、日々を懸命に生きる人々から、都度エネルギーをもらいながら研究を続けてきました。カラッとした風土が、単に肌にあっただけなのかもしれませんが。
 スペイン語世界との出会いは比較的遅く、大学院に入ってからです。大学時代は下手の横好きの楽器練習に明け暮れ、調査地をアンデス山中の浮島観光地に絞るまでにも、1年程を中南米放浪に費やしたのだから、順風満帆な研究者人生とは端から無縁だったのでしょう。
 しかし、寄り道とはおもしろいもの。誰かが残したおぼろげな踏み跡をその時々は五里霧中で辿っていても、後から振り返れば、その歪な軌跡自体に自身の感性が刻まれている。その直観をいかに言語化し、社会的な響きを吹き込むのか。いかに構図へと落とし込むのか。それこそが自分なりの研究なのだと気づいたのは、30代も半ばになってから、博士論文の執筆過程のことでした。
 自らの抱える現実、日本の日常とはまったく違った地点から考えを練り上げてみませんか。たとえアンデスやアマゾンの奥地であっても、フィールドをつぶさに検討すれば、そこには確実に日本近現代史とのつながりが見出されるはずです。そして、遠い世界からの力をひきこめば、自らの抱える困難や生きづらさもまた違った形で見えてきます。
 日々のちょっとしたわだかまり、その感性を大切に。大学というかけがえのない期間だからこそ可能な深掘りを、語学学習と並行的に進めていきましょう。みなさんが自らのことばで表現し、さまざまな世界を架橋する力に磨きをかけられるよう、GR学部教員の1人として力添えしたいと思っています(2025年4月着任)。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 相模湾、とんびの鳴く海辺の街で幼少期を過ごし、小学校から高校生までは東京で暮らしました。世紀が変わる頃、京都大学農学部へ入学するために関西圏にやってきましたが、その時はいわゆる理系の勉強をしようと考えていました。大学在学中に、興味関心は文系に移り、農村社会学、人類学などのフィールド理論を学べる研究室に所属しました。理屈っぽい性格が災いし、難しげな純理論に迷い込んだこともあって、現地調査へと赴いたのは大学院への進学後、修士課程に入ってからでした。
 中学・高校時代に陸上競技の中長距離パートにいたなごりなのかもしれません。執筆が煮詰まってくると、歩き出し、走り出します。博士論文を書いていた時分には、夕暮れ時の大文字山にかけあがり、ばったりと鹿の親子を驚かせていました。
 器が小さく日々あくせくしていても、根は気長なこと。長い距離を歩くのがまったく苦にならないのが、フィールドワーカーとしての隠れた素養だと気づいたのは最近になってのことです。風通し、見晴らしの良い空間にいないと、すぐさま干からびてしまう自身の生態に気づいたのも、また然り。古代湖にも程近く、遺風の吹き込む古都京都は思索探訪にうってつけの場だと実感しています。

研究内容

 現代グローバル資本主義社会の実態を、南半球、南米大陸の「いなか」から考える作業を進めています。
 コロンブスの新大陸到達から500年以上の歳月を経た今日、中南米の奥地であっても「近代」からの影響とは無関係でいられなくなっています。自らのやり方で生を紡いできた先住民に、「開発」や「環境保全」といった外部からの圧力は、どのようなものとして立ち現れているのか。現場からの読み解きを図るべく、2004年からはアンデス地域ティティカカ湖の浮島観光地で、2022年からはアマゾン地域での現地調査を開始しました。また、このような周辺世界と「日本」との接点にも関心があり、日本企業・日本人移民の進出過程、開発援助とのかかわりについても細々と資料収集を続けています。

主要業績

  •  単著:『浮島に生きる―アンデス先住民の移動と「近代」』(京都大学学術出版会、2020年) 
  •  共著:『ラテンアメリカと国際人権レジーム―先住民・移民・女性・高齢者の人権はいかに守られるのか?』(晃洋書房、2024年)
  • 論文:「アンデスの高嶺から砂漠に水をひく―ペルー・タクナ県総合開発計画をめぐる国際的力学と高度経済成長期の日本」『滋賀大学環境総合研究センター研究年報』第20巻1号、2023年
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