向 正樹(ムカイ マサキ)
| 英語表記 | Masaki MUKAI |
|---|---|
| 職名 | 教授 |
| 研究者情報 | 研究者データベース |
学生へのメッセージ
約4年というタイムスパンで、そのさき数十年この世界の中で生きていく「自分」をビルドアップする、ということについて考えてみよう。いまの時代、世界は地球大―グローバル―だ。しかし地球大の塊まりはそのままでは漠としすぎている。ならば、世界のいくつかのパーツをとらえ、全体と部分とがどうひとつにつながっているか眺めてみる。
いま私たちは近代資本主義世界システムの終末的な局面にいるのだ。そう述べたI・ウォーラーステイは2019年に世を去りましたが、資本主義システムなるものの帰趨は見えていません。現在が15・16世紀に淵源をもつ資本主義システムの終末であるならば、限界を迎え混沌とした近代という枠組みをいったん離れて想像する柔軟さが必要となるでしょう。覇権国家がひとつではない世界、どの国も世界全体をコントロールすることはできないという事実、それは13・14世紀のユーラシア世界や11・12世紀の多極化した東部ユーラシア世界も同じでした。
けっして一枚岩にはならない。かといって完全にバラバラでもない。政治にしても経済にしても文化にしても、世界はいくつものまとまりからできているのだ。これらのまとまりに地域文化というラベルをはりつけてみる。その内側にはゆうに数百~数千年の時の蓄積が横たわる。グローバル地域文化学部の毎日は忙しそうだ。
プロフィール(経歴、趣味、等)
高校時代、モンゴルの民主化とチンギス・ハンの復権について知りました。そして、モンゴル帝国の研究を志し、騎馬遊牧民の研究で名高い東洋史学研究室に飛び込みました。しかし、何を武器にこの分野でやっていくのか?私はモンゴル帝国の時代の海域アジア史という分野でやっていくことにしようと決めました。そして、モンゴル語混じりの漢語文献やアラビア語で書かれた古い石刻を手がかりに海域初期イスラーム移民研究に乗り出します。
博士号取得後は、歴史教育、グローバル・ヒストリーなどのプロジェクトに参加、我流のグロービッシュを駆使して国際学会にも乗り込みます。そこでは、グローバルな学問に必要なことは「シェイムレス」になることだと教わりました。
自分の興味にしたがって、あるいは、必要に迫られて色々手を出したことが、案外、現在の職場で生きています。最近は、スイーツの交流史、猫からみた世界史、デジタル人文学のコンテンツ作りや、モノや知識が時空を超えてどう伝わるかを分析する「バウンドする伝播のネットワーク」理論にも取り組んでいます。
ジブン×ジンブンのHPに載っているインタビュー記事もぜひご覧ください。
ジブン×ジンブン
研究内容
私はこれまで海域アジアのイスラムについて研究してきました。海の交易ネットワークに淵源するコミュニティがその後どのような変遷を経たのかを明らかにすることは、移動の人類史に現在を位置づけ、さらに数百年先を考えることにも繋がると考えています。
もうひとつの専門として、世界人類が共有する「われわれの歴史」としてのグローバルヒストリー構築にも取り組んでいます。この分野は、歴史学と様々な分野との協力により環境、気候変動、動植物、ヒト、モノ、カネなどあらゆるものを扱います。そこでは高校・大学の教員がともに議論に加わります。私が知り合った若い高校教員は、グローバルヒストリーの国際学会に参加し、英語で世界の学者や教育者と情報交換を行っています。地歴科教員免許取得可能なグローバル地域文化学部からもそうした世界を舞台に活躍する次代の教員が生まれることを願っています。
私はまたグローバルヒストリーの知見を平和学に活かすことに関心があり、日中韓の歴史学や平和学の対話に参加してきました。こうしたグローバル・ヒストリーや平和学の現場にかかわりながら、最新の動向を講義を通じて伝えることができればと思います。
主要業績
- 向正樹『クビライと南の海域世界』(大阪大学出版会、2024年)
- 向正樹「ユーラシア東方における外来人エリートの移動と「自由」ー唐代〜モンゴル時代における陸・海ディアスポラの比較史ー」鈴木英明(編)『移動の文明誌ー「自由」と「不自由」の狭間でー』(思文閣出版、2025年)
- 向正樹(責任編集)、高大連携歴史教育研究会(編)『歴史総合〈私たち〉の物語をつくるー今こことその先ー』(ミネルヴァ書房、2026年)
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