アジア・太平洋コース 教員
渡辺 文(ワタナベ フミ)
英語表記 | Fumi WATANABE |
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職名 | 助教 |
研究者情報 | 研究者データベース |
学生へのメッセージ
学生時代に真剣に考えてみてほしいことが二つあります。
一つは「自分が何を好きなのか」。すでに好きなことが分かっている人も、まだ把握できていない人も、一度立ち止まってみてください。自分がそれを好きになった経緯や、それを可能にしてくれた環境について整理してみるのもよいでしょう。まったく新しいことにチャレンジして、自分の幅を広げてみるのもよいかもしれません。好きなことをのびのびと楽しみ、慈しみ、発展させる知恵や技を育ててみてください。これはきっと、あなたを長いこと助けてくれるでしょう。
もう一つは「自分が最も深刻だと考える社会の問題は何なのか」。まず自分で動き、直接経験を頼りにしてください。そこで感じるのは自分自身の痛みかもしれないし、となりに立つ他者の苦しみかもしれません。つぎに、感じとった問題群の現状を、真剣に調べて分析してみてください。なぜそのような問題が生じているのか、それはいつからなのか、誰・何が関与しているのか、それを問題だと思わない人たちはどのような理由を挙げているのか、解決策はなにか…等々。問題も答えもどんどん変容するでしょう。自分自身も、どんどん変わっていくでしょう。変化をおそれず、諦めず、なんとか向きあいつづけてみてください。これはもしかすると、あなたの大切な人たちや、まだ見ぬ誰かも、少しだけ笑顔にできるかもしれません。
これらの作業をひとりでする必要はありません。せっかく大学にいるのだから、周りの教員や、学友や、あるいは図書館でひっそりと息をしている膨大な書物たちともたくさん話してみてください。きっとかけがえのない仲間と出会うことでしょう。みなさんの学生生活が思いもよらぬ経験となることを願っています。
プロフィール(経歴、趣味、等)
大分市生まれ。学部は早稲田大学政治経済学部政治学科にて、大学院は京都大学大学院人間・環境学研究科文化人類学分野にて学びました。博士(人間・環境学)。ハワイ大学人類学部客員研究員や立命館大学政策科学部助教などを経て、2016年より現職。海が好きです。
研究内容
私の専門とする人類学は、ホモサピエンスという種としての人類の普遍性を追究すると同時に、環境に根ざした各文化的集団の個別性をも追究するという、独特のバランスの上に成り立っています。
このような人類学の立場から、私はオセアニアの芸術(現代アートから伝統的ものづくりまで)について研究してきました。とくにフィジーでは参与観察にもとづく長期フィールドワークをおこないながら、1990年代に始まったレッド・ウェーヴ・アート(絵画芸術のスタイルや世界認識)の成立・拡散過程を調査し、それが集団的なオセアニア性への志向と、個々の画家による独創性の追求との葛藤からうみだされ、地域社会での文脈を築いていることを研究してきました。
近年はフィジーにおけるドメスティック・バイオレンスやジェンダー暴力にも関心があり、女性被害者の集う工芸コミュニティ等に着目した研究をおこなっています。
主要業績
・『オセアニア芸術―レッド・ウェーヴの個と集合』京都大学学術出版会、2014(単著)
・『文化人類学の思考法』世界思想社、2019(共著)
・『オセアニアで学ぶ人類学』昭和堂、2020(共著)
・An Anthropology of Ba: Place and Performance Co-emerging. Kyoto University Press/ Trans Pacific Press, 2021(共著)
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