ヨーロッパコース 教員
久野 聖子(クノ キヨコ)
英語表記 | Kiyoko KUNO |
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職名 | 准教授 |
研究者情報 | 研究者データベース |
学生へのメッセージ
幼い頃からクラシックピアノを習っていました。でも、幸い(?)、ピアニストになることはできず(ピアニストの方々の努力は私には無理です!)、大学では音楽学を専攻しました。学生時代、好きな音楽はブラジルのサンバやラテン音楽など、非クラシックばかりでした。卒業論文では、スペインのある作曲家の音楽を扱いましたが、私がいた音楽の世界では、スペインはどちらかと言えばマイノリティ。しかも、スペインのなかでも私が選んだのは、カタルーニャ地方。スペインのなかの歴史・地域的マイノリティとも言われる地方です。その頃から、どうやらマイノリティには興味があったようです。
その後、音楽 の周辺の学問領域である文化人類学や社会学に興味を持ち、他大学の大学院へと進みました。修士課程では、バルセロナで一年間、民俗芸能集団に所属し、そのフィールドワークをもとに修士論文を仕上げ、その後もカタルーニャの研究を進める予定でした。しかし、ある日観た映画がずっと頭から離れず、この映画がきっかけで研究対象が一変。その新しい研究対象とは「ロマ」です。そして、研究対象を変えてしまったその映画とは、旧ユーゴスラヴィア出身の映画監督エミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』(1995)です。
それ以来、スペインをフィールドに、ロマについて研究をしています。ロマとはいったい何かと思った人は、ロマが何者なのか、ぜひ自分で調べてみてください。そして、ロマに興味を持ったら、その周辺をいろいろと物色してみてください。ロマに関する映画を観てみるのも、彼らの音楽を聴いてみるのもいいと思います。きっと、自分にとって興味深い何かが見つかるはずです。
プロフィール(経歴、趣味、等)
京都に生まれ、京都で育ち、そして大学入学をきっかけに単身東京へ移り住みましたが、11 年前にUターンしてきました。
趣味は、やはり音楽、映画、そして演劇です。先日、ある学生さんから、「自分で演劇はやらないのですか」と聞かれました。「日々、家で寸劇を演じているからねえ、それで十分」と答えました。家には今、8歳と5歳 の男の子がいます。家に帰ると毎日、その子たちとまさに寸劇の連続です。ときどきふと、これがほんとうに現実なのか、ただこういう役を演じているだけなのか、と考えてしまいます。それは、小さな頃からずっと抱いている疑問の続きでもあります。小さな頃、宇宙の大きさを考え始めたら恐ろしくて眠れなくなってしまい、「今、自分が生きているこの地球、そしてこの世界は、誰かのお腹の中にあるのかもしれない…」と、知らないうちに眠りについていたことを思い出します。いろいろ悩みはありますが、その悩みもきっと、宇宙の大きさからしたら、とてつもなく小さなことなのでしょう。そして、音楽、映画そして演劇に触れているあいだは、そんな悩みも吹っ飛んでしまいます。子どもたちとの日々の寸劇も含め、です。
研究内容
現在の研究テーマは、ヨーロッパとスペインにおけるロマです。関心は2点あります。1点目は、スペインのヒターノ(「ジプシー」を意味するスペイン語)たちの自己認識の変容について、グローバル化との関連から考察することです。ヨーロッパが拡大し、グローバル化が進行するなかで、スペインにもルーマニアなどから多数の東欧系ロマが流入しています。そのなかで、スペイン系のヒターノたちの自己認識にどのような変化が起きているのかについて探っています。2点目は、ヒターノたちの芸術活動について、文化とエスニシティの観点から探ることです。これは、私自身が東京から京都へUターンしてきたように、研究テーマも自分の原点へとUターンしてきた結果の産物です。19世紀以降のヨーロッパにおいて、スペイン、そしてヒターノたちはオリエンタリズム的視線を浴びてきました。ヒターノが多大な貢献をしているフラメンコという芸術において、何がヒターノ的な要素とみなされているのか、それがほんとうにヒターノを起源とする要素なのか、なぜそうした要素がヒターノ的であるとみなされているのかといったことを探ることが、現在の私の研究内容です。
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