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アジア・太平洋コース 教員

若生 正和(ワコウ マサカズ)

若生先生写真
英語表記 Masakazu WAKO
職名 准教授
研究者情報 研究者データベース

学生へのメッセージ

 私が韓国朝鮮語を大学で学び始めた1990年代は今ほど学習者の広がりはありませんでした。私は隣国の言語を学ぶ人間がいれば何か日本社会の役に立つのではないかという思いと、人があまり学ばない言語を身につければ自分自身の進路を切り開く上で役に立つのではないかという下心で学んでいました。しかし実際に学び始めると発音や文法を覚えるのに精一杯で、また言語学の面白さばかりに目を奪われ、自分が何をすれば日韓関係の発展に寄与できるのかは、あまり深く考えていませんでした。
 前勤務校の仕事を通して私が学んだのは、例えどの国と交流するとしても、まず相手国とその国の人々に敬意を払う姿勢が必要だということです。新約聖書<ローマの信徒への手紙>に「兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。」とあります。しかし、兄弟のように似ている部分もある韓国について「相手を優れた者と思う」考え方は、少なくとも90年代の日本には希薄だったように思います。現在はどうでしょうか。隣国の人々への敬意は深まっているでしょうか。
 前勤務校は教育大学だったため、韓国の教育事情にも目が行くようになりました。1997年から初等学校の「英語」を正規科目化した韓国は、初等教育における英語教育は日本よりもはるかに進んでいます。またICT機器の導入も日本より積極的で、初等学校の教室でごく自然に取り入れられている様子を見ることができます。
 残念ながら私の学生時代は「韓国は日本の10年前の姿」と見る人がほとんどで、私もその言葉を鵜呑みにしていました。しかしグローバル化が進む現代では、日本も韓国も諸外国から独自に学びながらそれぞれに発展し続けています。上に書いた教育分野のように、韓国が日本より先んじている部分も少なくありません。まずはその事実を認識し、韓国から学べることは謙遜に学ぶ、その姿勢が今の日本人には必要です。同志社大学で学ぶ皆さんに隣の国を尊敬し、相互に学び合う自由な心を持っていただくこと、それが私の願いです。

プロフィール(経歴、趣味、等)

 大学では朝鮮語朝鮮文学を専攻し、大学院では主に対照言語学を研究しました。そして大学院修了後、大阪教育大学国際センターに11年間勤務しました。そこでは留学生の日本語教育に従事する一方、韓国をはじめ様々な国の協定校との交流に携わる仕事を担当しました。
 前勤務校で担当した仕事の中で思い出深いものの一つに韓国の教育大学からの「海外インターンシップ」学生受入れがあります。このプログラムでは韓国人学生を日本の大学で研修させた後、2週にわたり地域の小学校に配置して教育実習をさせます。
 私自身は教育実習経験がなかったこともあり、初めは戸惑いの連続でした。また最近は韓国の方が先進的な分野もあり、彼らにとってどれくらい効果のある研修になるか、心配もしました。
しかし実際に韓国の教師の卵たちを小学校に送り出すと、彼らは大阪の先生方の熱心な勤務姿勢から多くを学び、インターンシップ終了後には「自分の教師像を新たにする機会になった」という声を多く聞きました。そのような感想を聞く度、私は「日韓が相互に尊敬し、高め合う関係になれたら良いのに」と思うようになりました。
 趣味は写真と、聖歌隊で大きな声で歌うことです。仙台出身の大阪在住。出勤で大阪から京都に来るとエスカレーターの立ち位置が逆になるのに戸惑う日々です。

研究内容

 主な研究分野は日韓対照言語学です。日本語と韓国・朝鮮語の文法や語彙の共通点と相違点を明らかにすることで学習者・教師に有益な情報を提供するとともに、表層的な相違点の後ろに隠されている言語間の普遍性を探究しています。またこの数年は留学の動機や効果について研究してきました。

主要業績

  • 若生正和・長谷川ユリ・中山あおい「日本留学の動機・体験・効果:交換留学生を中心に」,『大阪教育大学紀要第Ⅳ部門教育科学』第61巻1号, pp.169-184, 2012.
  • 若生正和「韓国人日本語学習者による場所の格助詞「に」と「で」の選択に関する研究」,『大阪教育大学紀要第Ⅰ部門人文科学』第60巻2号, pp. 91-99, 2012.
  • 若生正和「日韓漢字動名詞の対照研究-日本語能力試験3・4級の語彙を中心に」,『朝鮮半島のことばと社会 油谷幸利先生還暦記念論文集』(明石書店), pp.342-364, 2009.
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