アジア・太平洋地域 教員一覧

渡辺 文(ワタナベ フミ)

渡辺 文
英語表記Fumi WATANABE
職名助教
主な担当科目グローバル・スタディーズ論、
グローバル地域文化の基礎、
グローバル地域文化入門セミナー、
グローバル地域文化発展セミナーⅠ,Ⅱ、
グローバル地域文化専門セミナーⅠ,Ⅱ、
卒業論文、英語関連科目
所属コース名アジア・太平洋コース
研究者情報研究者データベース

学生へのメッセージ

学生時代に真剣に考えてみてほしいことがふたつあります。
ひとつは「自分が何を好きなのか」。すでに好きなことがわかっている人も、まだうまく把握できていない人も、一度立ち止まってみてください。自分がそれを大好きになった経緯や、それを可能にしてくれた環境について整理してみるのもよいでしょう。まったく新しいことにチャレンジして、自分の幅を広げてみるのもよいかもしれません。好きなことを楽しみ、慈しみ、発展させる知恵や技を育ててみてください。これはきっと、あなたを長いこと助けてくれるでしょう。
もうひとつは「自分が最も深刻だと考える社会の問題は何なのか」。まず自分で動き、直接経験を頼りにしてください。そこで感じるのは自分自身の痛みかもしれないし、となりに立つ他者の苦しみかもしれません。つぎに、感じとった問題群の現状を、真剣に調べ、考えてみてください。なぜそのような問題が生じているのか、それはいつからなのか、だれ・なにが関与しているのか、それを問題だと思わない人たちはどのような理由を挙げているのか、解決策はなにか…等々。問題も答えもどんどん変容するでしょう。自分自身も、どんどん変わっていくでしょう。変化をおそれず、諦めず、なんとか向きあいつづけてみてください。これはもしかすると、あなたの大切な人たちや、まだ見ぬだれかを、すこしだけ笑顔にできるかもしれません。
これらの作業をひとりでする必要はありません。せっかく大学にいるのだから、周りの教員や、学友や、あるいは図書館でひっそりと息をしている書物たちともたくさん話してみてください。きっとかけがえのない仲間と出会うことでしょう。
みなさんの学生生活が思いもよらぬ経験となることを願っています。

プロフィール(経歴、趣味、等)

大分市生まれ。2000〜2004早稲田大学政治経済学部政治学科。2004〜2009京都大学大学院人間・環境学研究科。博士(人間・環境学)。ハワイ大学人類学部客員研究員、立命館大学政策科学部助教などを経て、2016年より現職。海が大好きです。

研究内容

私の専門とする人類学は、ホモサピエンスという種としての人類の普遍性を追究すると同時に、環境に根ざした各文化的集団の個別性をも追究するという、独特のバランスの上に成りたつ学問です。近年ではさらに、グローバリゼーションにともなう標準化作用や、個人の自立/自律性といった側面も、同時に追究される必要があります。
このような人類学の立場から、私はオセアニアの芸術(現代アートから伝統的ものづくりまで)について研究しています。とくにフィジーでは参与観察にもとづく長期フィールドワークをおこないながら、1990年代に始まったレッド・ウェーヴ・アート(絵画芸術のスタイルや世界認識)の成立・拡散過程を調査し、それが集団的なオセアニア性への志向と、個々の画家による独創性の追求との葛藤からうみだされ、地域社会での文脈を築いていることを研究してきました。
私はこのような動態を研究対象とすることで、地域芸術という、現代の芸術風景における一大領域の成立メカニズムを考えるのみならず、一定のまとまりを具えながらも、開放性と変化可能性を常に内包するような開かれた文化のあり方を考えています。

主要業績
単著:
『オセアニア芸術―レッド・ウェーヴの個と集合』京都大学学術出版会、2014
共著:
『文化人類学の思考法』世界思想社、2019
『オセアニアで学ぶ人類学』昭和堂、2020
論文:
The Network of Actions: On the Collectivity in the Vicinity of Red Wave Art. People and Culture in Oceania, 29: 51-68, 2014