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2023年度イベント報告

2023/11/4
2023/11/3
2023/10/4
2023/9/30
2023/7/22
2023/7/4
2023/6/18

グローバル地域文化学部開設10周年記念講演会 「ヒトラー前夜のドイツ―なぜ民主政は独裁へ転じたのか?」を開催しました

10周年記念講演会写真1(石田先生)   (83030)

 グローバル地域文化学部開設10周年記念講演会が、11月4日に、東京大学名誉教授石田勇治先生をお迎えして「ヒトラー前夜のドイツ—なぜ民主政は独裁へ転じたのか?」というテーマのもと開催されました。
 講演会の冒頭で、石田先生は、民主主義が問われている現在において、当時世界一民主的な憲法をもつといわれたヴァイマル共和国の政体が、なぜ独裁に転じたのかを再検討することの意義を強調されました。
 講演では、国会選挙における各政党の得票率のデータを示しながら、ヴァイマル共和国末期の政治状況を詳しく説明されたうえで、ヴァイマル憲法体制が一足飛びにヒトラー独裁へと向かったのではなく、複数の段階、つまり議会制民主主義から大統領内閣へ移行し、さらに授権法体制を経てヒトラー独裁が成立したことを詳しく解説されました。そして、この過程は決して不可逆的なものではなく、ある時点までは戻ることができたことも指摘されました。

10周年記念講演会写真2(石田先生)     (83033)

 一般にヒトラー政権の成立には国民の絶大な支持(民意)があったといわれますが、石田先生はそれだけではないことを強調され、当初ナチ党の得票率が国会の4分の1程度であったことを示されました。そして、大統領ヒンデンブルクの役割、大統領権限を行使した少数派内閣運営、緊急事態条項の濫用、授権法成立など詳細な政治的背景を説明され、いかに独裁政権が複雑な要因によって誕生したのかを分かりやすく解説くださいました。
 石田先生の講演後、ヨーロッパコースの穐山洋子准教授、アジア・太平洋コースの小川原宏幸教授、アメリカコースの倉科一希教授より、それぞれコメントが出され、それに対して石田先生は丁寧にご回答くださいました。また、会場の在学生からもいくつか重要な質問が出され、これに対しても丁寧なご対応をいただきました。  
 本講演会は大勢の参加者に恵まれ、盛会のうちに終了いたしました。

同志社大学グローバル地域文化学部開設10周年記念行事を開催しました

10周年記念行事写真1 (83026)

 快晴の11月3日、グローバル地域文化学部開設10周年記念式典が執り行われた。
13時、寒梅館ハーディーホールに集まった参加者の前に、司会の廣岡まりあさん(本学部卒業生)が登場して開会すると、宇佐美耕一学部長の挨拶、
八田英二総長・理事長の祝辞、植木朝子学長の祝辞と続いた。
 
 厳粛な空気を破ったのは、それに続いた「卒業生からのことば」であった。快活でウィットに富んだ且田真理さんは、記憶に残っている先生とのエピソードを紹介するとともに、「学びの場であり、出会いと交流の場でもあった」志高館のラウンジの思い出を語った。現在、京都服飾文化研究財団で研究員をされている五十棲亘さんは、ファッション研究に専門を定めるに至る試行錯誤の学生時代を懐かしく振り返るとともに、いまの自分のベースとなったグローバル地域文化学部での学びをあらためて強調した。
 
 式典の最後は、本学部の清水穣の講演「グローバル地域文化学部の10年間」。清水はまず、「卒業生にとっての、卒業後の10年の重みを実感すると、教員として身が引き締まる思いがした」と「卒業生からのことば」に対して感想を述べ、「やっと10歳にこぎつけた」若い学部のコンセプトを改めて紹介するとともに、GR学部は、グローバル社会のみならず、来るべき日本の未来(移民社会としての日本社会)のための人材を準備する学部である、として式典を締めくくった。

10周年記念行事写真2  (83027)

 休憩を挟んで、いよいよ記念コンサートとなった。山本梓氏(クラリネット)、佐藤響氏(チェロ)、西岡沙樹氏(ピアノ)によるトリオが、ベートーヴェンの「街の歌」、そしてフォーレ最晩年の美しいトリオを続けて演奏した。最晩年のフォーレに特徴的な、せまい音域で繊細な転調を繰り返す音楽を、めりはりあるピアノの演奏がよく導いていた。この作品は本来ピアノトリオで、ヴァイオリンパートをクラリネットに代えてよく演奏されるが、弦楽器を管楽器で演奏することから生じる困難を全く感じさせない素晴らしい演奏であった。

 コンサート終了とともに、すべてのプログラムがつつがなく終了し、拍手とともに記念行事はお開きとなったが、その30分後、場所を志高館ラウンジに移して、懇親会が開かれた。学部開設に尽力された関係者や卒業生にも参加いただき、すっかり社会人の顔をしたかつての教え子たちとの交流に時間はあっという間に過ぎていった。

グローバル地域文化学会学術講演会「戦争体験の継承―哀しみの記憶とあなたの明日」を開催しました

20231004_学術講演会1      (85546)

 2023年10月4日に、第11回グローバル地域文化学会学術講演会が、「戦争体験の継承―哀しみの記憶とあなたの明日」というテーマのもと開催された。

日 時:2023年10月4日(水)15:30 ~ 18:00
場 所:同志社大学志高館110教室
講演者: 清水惠子氏(国立広島原爆死没者追悼平和祈念館朗読ボランティア)
     藤井光氏(アーティスト)
     山田朗氏(明治大学文学部教授)
企画・運営:2023年度GR学会学術講演会実行委員会
川西爽登(グローバル地域文化学部アメリカコース[コメント])
七崎桃子(グローバル地域文化学部ヨーロッパコース)
野崎真羽(グローバル地域文化学部ヨーロッパコース)
藤原花妃(グローバル地域文化学部ヨーロッパコース)
ペレス R. アンドレス(グローバル地域文化学部教員)
邊見海佑(グローバル地域文化学部アメリカコース)
松井琴菜(グローバル地域文化学部ヨーロッパコース[コメント])
宮島理彩子(グローバル地域文化学部アジア・太平洋コース)
安見日菜子(グローバル地域文化学部アジア・太平洋コース[司会])
米倉嘉陽(グローバル地域文化学部アジア・太平洋コース)
渡邉暖(グローバル地域文化学部ヨーロッパコース)
渡辺文(グローバル地域文化学部教員) 

 清水惠子氏からは、「原爆被害の実相を朗読を通していかに継承しているか」というタイトルで、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館等での被爆体験記や被爆詩の朗読活動について、ご自身の入市被爆の経験も交えてのご講演をいただいた。山田朗氏からは、戦争の記憶の希薄化という背景を踏まえたうえで、「何を、どのように」継承していけば良いのかという観点から、「戦争の記憶の継承――被害と加害、<表の記憶>と<裏の記憶>」というタイトルでのご講演をいただいた。藤井光氏からは、「戦争の記憶をいかにして移民の若者たちと共有していけるか」というタイトルで、藤井氏が移民の若者らと共に制作した作品《無常》や、不在により想像力を喚起する《爆撃の記録》という作品等にも触れながら、「歴史の情報化」ではなく「歴史の記憶化」の必要性について等のご講演をいただいた。 

 講演の後には、グローバル地域文化学部の代表学生2名を交えた議論、つぎにフロアを交えての自由議論が活発に行われた。約60名の多くの参加者に恵まれ、盛会のうちに終了した。 

 なお本講演会の企画・運営はグローバル地域文化学部の学生10名と教員2名から構成される実行委員会が担った。講演会の開催に先立って、実行委員の有志4名で広島市へ赴き、講演者の一人である清水惠子氏を直接訪問する機会にも恵まれた。

20231004_学術講演会2  (85547)

グローバル地域文化学部開設10周年記念講演会 「リベラル崩壊の時代の『グローバル』と『地域』」を開催しました

グローバル地域文化学部開設10周年記念講演会の第1回(9月30日(土)開催)は、戦後日本の政治の本質を鋭く突いた議論で知られる白井聡先生(京都精華大学准教授)をお招きしました。トランプ・シンパのアメリカ国会議事堂占拠にも顕著な、リベラルデモクラシー崩壊の時代に、「グローバル」と「地域」はいかなる関係にあるのか、あるべきかという、今後の本学部にも深く関わるテーマでお話いただけないかという提案を、先生は快くお引き受けくださいました。

20240930_10周年記念講演(白井先生)    (82849)20240930_10周年記念講演(白井先生)    (82850)

当日の白井先生の講演は、以下のとおり大変熱のこもったものでした。
 自由を尊重しつつも平等が必要と考えていたかつての社会民主主義的なリベラルの概念は、平等をないがしろにして個人の自由(=自己責任)を野放しにしたネオリベラリズムによって大きく変質した。そして、その自己中心的なネオリベラリズムは、容赦なく低所得層を、あるいは第三世界を踏みつけにしてきた。ウクライナ戦争に際し、NATOやG7がロシア制裁を打ち出したが、かつての後進国、発展途上国からの支持が得られず制裁は不如意なものに終わった。これはネオリベラリズムを掲げる先進諸国がその支配力を喪失し、さらにはアフリカの反乱の例にみられるように、拒絶の対象とさえなりつつあることを示している。これらの国々を新しい経済大国中国がまとめていくであろう未来図において、ネオリベラルな経済体制は極めて困難な状況に置かれることになる。
 また当のリベラリズムそのものも、もはや同質性を完全に放棄し、
異質性のみを寿ぐアイデンティティ・ポリティクスによって内部から崩壊しつつある。
 先進諸国は、この行き詰まりを打開したいと願いつつも、ネオリベラリズム的な資本主義にとって代わるものを未だ見いだすことができずに苦悩している。

20240930_10周年記念講演(白井先生)      (83001)

本学部の水谷智教授、和泉真澄教授にもコメンテーターとして参加していただきました。
 水谷教授は、ウクライナとロシア、あるいはロシアシンパのアフリカと旧宗主国にうかがえるような、新たな南北対立が、恐るべき火種として存在しているという白井先生の危惧を共有しつつ、しかしその南北対立は、かつての東西対立のようなイデオロギー的な対立ではもはやありえず、南北ともにグローバル資本主義に「包摂」されたうえでの権力闘争であって、「南」諸国を「北(G7体制)」諸国に対する「外部」として理解するのは難しいと指摘しました。
 また、和泉教授は、グローバル資本主義の「外部」は、必ずしも大きな地球上の範囲に求められるものではなく、小さなコミュニティや、人々のオルタナティヴなアクションの積み重ねにも求めうるであろうと強調しました。時間の都合で、多くを受け付けることはできませんでしたが、会場からも有意義な質問をいただきました。

グローバル地域文化学会小規模講演会「『思想』2023年4月号合評会ー歴史教育転換の経緯、ジェンダー叙述の変化、歴史統合の現場と教員養成―」 を開催しました

 2023年7月22日(土)13:00~17:30、同志社大学グローバル地域文化学会小規模講演会として高大連携歴史教育研究会編集委員会企画「『思想』2023年4月号合評会―歴史教育転換の経緯、ジェンダー叙述の変化、歴史総合の現場と教員養成―」が同志社大学今出川キャンパス良心館地下1番教室にて対面・オンライン(Zoom)併用で開催された。
 2022年4月から高校ではじまった歴史総合の授業について昨年から今年にかけて多くの論考が発表されてきた。なかでも『思想』no.1188(2023年4月)高校歴史教育特集は大学教員や中高教員まで18名が論考を寄せ、話題となった。今回は特に4篇の注目すべき論考について議論を行った。

(1)吉嶺茂樹(札幌日本大学高等学校教諭)より「転換期の歴史教育/歴史教育の転換」(井野瀬久美恵・小川幸司・成田龍一鼎談)について報告。
(2)三成美保(追手門学院大学法学部教授)より「歴史教育という実践―ジェンダー視点から問う―」(三成美保)について報告。
(3)矢景裕子(神戸大学附属中等教育学校教諭)より「歴史総合の構想・授業・評価―『私たち』を問い直す―」(矢景裕子)について報告。
 川島啓一(同志社高校教諭)よりコメント。歴史総合の「私たち」の陥穽について。
(4)後藤誠司(京都教育大学附属高校教諭/大阪経済大学非常勤講師)より「教育養成課程からみる歴史総合/歴史学」(戸川点)に対するコメントと問題提起。

 以上、吉嶺報告、三成報告では、昨年から開始された歴史総合に関わる議論を、教育史の大きな流れのなかで(高校・大学での生徒の反応をふまえつつ)論じた。そこで言及された生徒にとっての「私たちの歴史」や、ジェンダー史の可能性、少数者を「私たち」にどう包摂していくか、という論点は、矢景・川島報告によって教育現場レベルの経験をもとに深められた。指導要領や歴史総合教科書でアプリオリに設定された「私たち」(と他者)という枠組みを逆手に取り、積極的にそれ自体を問いとして前景化させるような活発な高校教育現場の様子は、まさにグローバル地域文化学と称する学部教育とも通じるものがある。一方で、最後の後藤報告が言うように、高校と大学で十分に認識が共有されておらず高大の接続には残された課題が山積している。矢景報告の「生徒は本当に『私たち』が誰なのか、全然わかっていない」「日本人の自明性を崩すのは極めて困難」という問題はグローバル地域文化学部の抱える課題でもある。アクティブ・ラーニングやルーブリック評価といった教育手法も含めて、高校と大学の教育には多くの共通点・接点があり、高校教育が大学教育の土台であるなどとはもはや言えない。高校でも大学で学ぶのと同じようなコンピテンシーを身に着けさせようという今日、むしろ高校と大学とが同じ方向を見ながら互いがどのように補っていくのか、連携を深めるべきことが明らかになるなど、意義深い講演会となった。

2023年度第1回グローバルキャリア・トーク「GR2期生に聞く!先輩のキャリア」を開催しました

日時:2023年7月4日(火)16:40〜18:10
2023年度で第1回目の開催となるグローバルキャリア・トークは、対面とzoomのハイブリッド方式で開催され、約30名のグローバル地域文化学部生ならびに教員が参加した。グローバル地域文化学部の卒業生として藤井佑有氏(京都府庁職員)をお招きし、大学時代の学びや留学体験、就職活動の苦労と経験、現在の仕事とグローバル地域文化学部での学びがいまの仕事にどのようにつながっているなど、興味深い話があった。その後、オンラインを含めて参加者と活発な質疑応答があった。
なお、グローバル地域文化学部生が運営する「グローバル★キャリア企画」では、グローバル地域文化学部の卒業生をゲスト講師としてお招きし、主にキャリアについてお話しいただく講演会を企画している。当企画では、グローバル地域文化学部の卒業生である「先輩」と現グローバル地域文化学部生である「後輩」との「タテ」のつながりを積極的に構築していくことで、学部における学術性の向上ならびに学生の卒業後のキャリア形成への貢献を目指している。

グローバル地域文化学会小規模講演会「大島紬の世界」を開催しました

小規模講演会(尹)1   (83568)

2023年度グローバル地域文化学会
講演会開催記録

日時:2023年6月8日(木)17時~ 18時
会場:同志社大学 クラーク記念館 CL1教室
題目:『大島紬の世界』
講演者:南晋吾氏(本場奄美大島紬織元 夢おりの郷 代表) 

 正課科目である「グローバル地域文化学の実践2(奄美で考える多様性と持続可能性)」との連動企画として、2023年に日本復帰70年を迎えた奄美大島の歴史と文化を知り、「日本」の多様性について考える機会とすべく、奄美大島の龍郷町で本場奄美大島紬の織元「夢おりの郷」代表を務める南晋吾氏より、ご講演をいただいた。

小規模講演会(尹)2    (83569)

 まず藍染の大島紬を着た南氏より奄美の方言でのご挨拶があった後、大島紬が奄美大島においてどのように発展してきたのかについて、スライドや動画を交えながらの説明があった。奈良時代から1300年の歴史を持つこと、30~40ほどの緻密な工程を経て織られること、泥染めという独特の技法によって特有の艶と柔らかさが生まれることなど、大島紬が世界三大織物の一つに数えられるゆえんを窺い知ることができた。また、奄美の自然を模した各地域の伝統柄があるなかで、実際に龍郷柄の着物をお見せいただき、参加者が手に取る場面もあった。
 奄美大島の代表的な伝統産業である大島紬は、ピーク時に年間約30万反織られていたものが、現在では3000反ほどになり、その担い手である生産者も減少している。職人の高齢化や流通・生産体制など、課題は多い。南氏は、本場奄美大島紬協働組合の青年部会によるプロジェクトやクラウドファンディング、鹿児島県内の中・高校生への出前授業、若手の織工さんへのサポートなど、大島紬が持続可能な形で次世代や日本を超えた海外でも認知され、受け継がれていくためのさまざまな取り組みをされている。
 参加者は、本学学生7名(うちGR学部生6名)、本学教員7名(うちGR学部教員6名)、一般9名の計23名と関心も高く、大島紬の現在と可能性について、活発な質疑応答が交わされた。

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