2020年度イベント報告
2021/3/27 | グローバル地域文化学会講演会「『あの日から』のクロニクル――東日本大震災・原発事故からの10年を考える」を開催しました |
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2021/1/15 | グローバル地域文化学会講演会「アメリカ大統領選挙とBlack Lives Matter―勝敗を分けた社会運動に迫る」を開催しました |
2021/1/14 | 第4回キャリア説明会を開催しました |
2020/12/15 | 第3回キャリア説明会を開催しました |
2020/12/10 | 第8回学術講演会を開催しました |
2020/11/24 | 第2回キャリア説明会を開催しました |
2020/10/20 | 第1回キャリア説明会を開催しました |
グローバル地域文化学会講演会「『あの日から』のクロニクル――東日本大震災・原発事故からの10年を考える」を開催しました
2021年3月27日(土)15:00‐17:00に、同志社大学グローバル地域文化学会主催小規模講演会として、「『あの日から』のクロニクル――東日本大震災・原発事故からの10年を考える」というオンライン上映会+トークを開催しました。2011年の東日本大震災から10年が経つ今年、日本に住む私たちが向き合うべき課題である震災や原発問題について個々が考える機会を設けようという趣旨で、グローバル地域文化学部(以下、GR)の学生が主体となり、企画・運営を行いました。
当日は、福島県立相馬高校放送局の元顧問(現・相馬クロニクル)の渡部義弘先生をゲストとしてお迎えし、25名程度の参加者と共に、震災以降に相馬高校放送局の生徒が制作した作品を鑑賞し、渡部先生とディスカッションをしました。この上映会とディスカッションを通して、GRの学生だけでなく他の参加者の方々にとっても「考える・思考を深める」機会になったのではないかと思っています。上映会までにGRの有志学生企画チームでミーティングを重ね、当日の質問内容を相談しあい、企画チームの学生が抱く問題意識を共有したことで、当日の質疑応答が重厚なものになりました。
上映会で視聴した映像の中では、大人の決定に抗いたいのに従わなければならない生徒たちの複雑な心情や、今後の結婚・出産に対する偏見への不安など、女子高生のストレートな思いが表現されているのが印象的でした。作品内の「私たちの気持ちなんか誰もわかってくれないと思っていたが、わかろうとしてくれる人もいる」という言葉は、震災・原発事故の被災者との向き合い方を考える契機になったのではないでしょうか。惨状を経験した被災者にしか理解し得ない感情があると同時に、完全には理解できないことを心得ながらもわかろうと努める姿勢が今の私たちに求められているのではないかと私は考えています。
ディスカッション内で議論の柱となったのが「当事者意識」の問題です。「当事者」とは一体誰を指す言葉なのだろうか、被災していないものが「当事者」として語ることは許されるのか。このような疑問が、企画チームメンバーの中で、着地点の見えない問いとなっていました。これらの疑問に対して、渡部先生は「確かに震災を経験した者しかわからない感情はあるけれども、関心を持った人が周囲の人に影響を与えて、そこから関心が芽生えるのはとても嬉しい」と話されていました。渡部先生の応答からは、被災していない人々の震災・原発事故に対する無知や無関心という問題に対してどう向き合うのかを考えるための、手がかりが得られるのではないでしょうか。少しでも関心を持った人が周囲にそのバトンを繋いでいくことが、少なくとも今の私たちにできることなのかもしれません。
しかし、同時に、震災や原発事故が映画やドラマなどによってエンタメ化されてしまうことで、必然的に「語られない部分」が出てきてしまい、にもかかわらず、視聴者は「語られている部分」がすべてだと思い込んでしまう、というデメリットが生じてしまうのも事実でしょう。渡部先生も、メディアで語られていることがすべてだと認識することの危険性を感じていらっしゃいました。他にも、震災時における身体に障害を抱えた人の死亡率が高い事実や原発事故の賠償金の時効が10年であることなど、私たちが目を向けなければならない問題は沢山あり、今回の上映会は一人ひとりに新たな気づきを与えてくれた機会であったように感じます。
東日本大震災から10年が経つ今年、10年という数字に区切りや節目の意味を持たせることはもしかしたら暴力的なことなのかもしれません。非被災者にとっては節目でも、被災者にとっては終わりなき旅の通過点であることを私たちは忘れずにいかなければならないのでしょう。「私には関係のないこと」で終わらせるのではなく、他者に思いを馳せ、想像し、そして知ろうとすることが震災や原発問題を「他人事」にしないための第一歩なのかもしれません(文責・向川明希)。
企画チーム
【GR学部学生有志】
上原夏美・清川美空・橘直美・田中美有・種村尚大・宮城佳奈・向川明希
【教員】
伊藤玄吾・小野文生
グローバル地域文化学会講演会「アメリカ大統領選挙とBlack Lives Matter―勝敗を分けた社会運動に迫る」を開催しました
2021年1月15日(金)16:40-18:10に、zoomによる講演会「アメリカ大統領選挙とBlack Lives Matter―勝敗を分けた社会運動に迫る」を開催いたしました。
2020年の国際的なニュースの中で最も話題を集めたアメリカ大統領選挙は、接戦州の超僅差で現職が破れる波乱の結果となりましたが、民主党勝利の主要な要因の一つがBlack Lives Matter(BLM)運動であったと言われています。本講演会では、生命や暮らし、人種暴力、草の根の政治活動やコミュニティ形成など、グラウンドレベルの視点から、アメリカの人種社会構造の変革を迫るBLM運動が大統領選挙に与えた影響について、シンポジウム形式で考察しました。
講演者・講演内容は以下の通りです。
◇和泉真澄(本学グローバル地域文化学部教授):「2020年大統領選挙を考えるに当たって-トランプ政権の政策的特徴とBLMの必要性」
◇山中美潮(本学アメリカ研究所特別研究員):「『不正』が語られるとき-アメリカ再建期と人種主義」
◇武井寛(岐阜聖徳学園大学外国語学部准教授):「投票権をめぐる攻防-1965年投票権法成立後の有権者抑圧の実態」
◇坂下史子(立命館大学文学部教授):「景観の『常識』を問い直す-南部連合のシンボルを例に」
◇南川文里(立命館大学国際関係学部教授):「争点化する人種主義- BLMが変えた人種政治」
2020年大統領選挙は、トランプ政権下の新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う経済的苦境、そして5月末にミネソタ州ミネアポリスで白人警官によって拘束中に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件をきっかけに全米、そして全世界に人種差別に対する抗議運動が展開される中で進みました。結果は一般投票700万票以上、選挙人票でも圧倒的な差で民主党のバイデン候補が勝利しましたが、郵便投票を不正だとする根拠のない訴えを通じて、現職大統領が選挙結果を受け入れないという異例の事態となりました。接戦州では若者層や人種的マイノリティの投票数の増加が民主党の勝利を決定づけました。また、決選投票となった2021年1月のジョージア州の二つの上院議員選挙でも、黒人票の掘り起こしが、両議席の民主党勝利を生み出しました。
シンポジウムでは、現在のアメリカの人種ポリティクスだけでなく、今回の選挙で問題とされた「不正選挙」というレトリックや南北戦争関連の銅像や建物の名前が、実は歴史的に白人支配を作り出す暴力的手段として繰り返し使われてきた事実が、南部再建期、公民権運動期の出来事を通して説明されました。一方で2020年はBlack Lives Matter運動をきっかけとして「制度的人種主義」が大統領選挙で初めて正面から政治的争点となったという意味で、画期的な年であったことも明らかにされました。
Zoomでの開催でしたので、申込者が220名、参加者が130名を超え、やはりこの話題に関する高い関心があることがわかりました。
質疑応答では、さまざまな大学の学生参加者から、トランプ支持者による議事堂占拠事件、BLM運動の中のトランスジェンダーの人々の存在、投票資格の厳格化がなぜ共和党を有利にするのか、BLMのデモへの中国共産党やアンティファの介入に関する情報の信憑性、これからのアメリカ社会の変化の方向性などに関する質問が出され、盛況な議論となりました。
開催に際しまして、ご支援・ご協力くださった方々、参加してくださった方々に心より感謝いたします。
第4回キャリア説明会を開催しました
2021年1月14日(木)5・6講時、「グローバルキャリア・シリーズ」第4回キャリア説明会をTeamsで開催しました。 今回は「先輩に聞いてみよう!GR学部生の就活体験談」と題し、各種メーカー・総合商社・IT企業・旅行会社・サービス業・公務員 等さまざまな業種に内定している先輩方にご自身の就職活動についてお話いただきました。 また、各講時の後半は個別相談の時間を設け、就職活動に向けての不安や疑問を直接先輩にぶつけることができました。
参加者は、「先輩方の就活スケジュール、志望動機や内定先を決めた理由」「志望業界の面接で聞かれたこと」「コロナ禍での就活」「就活時のおすすめ本やYouTube」など具体的な情報を知り得ることができ、今後の就職活動にとても役立つ貴重な機会となりました。
第3回キャリア説明会を開催しました
2020年12月15日(火)5講時、「グローバルキャリア・シリーズ」第3回キャリア説明会をZoomで開催しました。 今回は同志社大学嘱託講師の加茂佳彦先生を講師にお招きして、国際社会で活躍することを志望する学生への動機付け、大学在学中の心得などについてお話いただきました。
【講師プロフィール】
静岡県出身。1976年東京大学工学部を卒業して外務省に入省。マサチューセッツ州にあるアーモスト大学に留学し研修を終えた後、本省では南西アジア課長、在外公館では、バングラデシュ、タイ、カナダ、ミャンマー、フィンランドで勤務。2007年9月までヒューストン総領事も務めた。外務省以外では、内閣審議官(内閣安全保障室)、衆議院事務局国際部長を経て、2009年8月からホノルル総領事。2012年10月から駐アラブ首長国連邦特命全権大使。2015年外務省を退官し、同年5月から2017年3月まで国立研究開発法人海洋研究開発機構特別参事。2016年から同志社大学グローバル・コミュニケーション学部、同志社女子大学大学院国際社会システム研究科で非常勤講師。2017年4月から同志社大学大学院法学研究科で非常勤講師。2015年UAE独立勲章第一等受章。
第8回グローバル地域文化学部・学術講演会「オセアニアの少数言語」を開催しました
令和2(2020)年12月10日、良心館202教室において、講師に千田俊太郎先生(京都大学大学院文学研究科准教授)をお迎えして「オセアニアの少数言語」と題する講演会を開催しました。
千田先生は朝鮮語やパプア諸語の研究をされている気鋭の言語学者で、とりわけオセアニアの少数言語ドム語について現地フィールドワークによってドム語の実態や現状を調査されておられます。
講演会では始めにご自身の撮影されたドムの儀式用盛装の写真や普段の市場での売り物、耕作に向かう親子の写真などを用い、ご自身の経験を交えてドムの世界に我々を導き入れてくださいました。その後世界の言語数と話者数から少数言語の現状、なかでもパプア・ニューギニアが世界で最も言語の多い国であり、ドム語の言語的特徴、少数言語話者の言語生活と意識がいかなるものなのかなどについて、専門的なお話を交えつつ講演されました。我々にとっては、グローバル化が進展する中、ドム語を始めとして多くの少数言語とその文化が衰退と消滅の危機にさらされていることをあらためて実感させられる内容でした。
今年は木曜日の第5講時という少々人の集まりにくい時間帯での開催でしたが、参加者はGR学部以外の方も聴きに来られて、25名余を数えました。そして講演後には多くの質問が出され、予定の30分をはるかに超えて一時間近くの熱心な質疑応答となりました。
本年は新型コロナウィルス肺炎の世界的流行という未曾有の事態の中、一時期は開催そのものも危ぶまれました。大学教員も教室授業からオンライン授業に急遽切り替えることとなり、普段にもまして多忙となりましたが、この状況下で千田先生は講演をご快諾くださいました。本学部学術講演会は学生スタッフが中心となって、企画、宣伝、当日の設営・運営等々を行いますが、本年も多くのスタッフが積極的に参加して見事にやり遂げてくれました。千田先生、学生フタッフのみなさん、そして始めから終わりまで支えてくださった事務室の職員の方々に心より感謝申し上げます。
第2回キャリア説明会を開催しました
2020年11月24日(火)5講時、「グローバルキャリア・シリーズ」第2回キャリア説明会をZoomで開催しました。 今回は在ギリシャ日本国大使館 専門調査員の末岡加奈子氏を講師にお招きして、ご自身のこれまでの経験について質疑応答を交えてお話いただきました。
【講師プロフィール】
大学卒業後、大阪やマラウィ共和国での中・高理科教員等の職業を経て、大阪大学大学院に社会人入学、教育社会学を専攻。9年間の大学院生活では、「オランダにおける非西洋系移民の背景をもつ子どもへの教育」を中心テーマに調査研究活動をしながら、複数の大学で教職課程や一般英語等の非常勤講師を務める。2019年6月より現職。
第1回キャリア説明会を開催しました
2020年10月20日(火)5講時、「グローバルキャリア・シリーズ」第1回キャリア説明会をZoomで開催しました。 今回はTNWORKS代表の長岡岳志氏を講師にお招きして「グローバルにキャリアを考える」をテーマに、日本とモンゴルをつなぐビジネスについてお話いただきました。
【講師プロフィール】
陸上自衛隊から営業マン、Webクリエイターを経て、日本でアプリ開発ディレクターをやりながら、モンゴルで遊牧民と一緒に旅行会社を立ち上げたり、キルギスで現地旅行会社の運営を行っています。
当日は、はじめてのオンライン開催にもかかわらず、とても盛況のうちに終了となりました。
たくさんのご質問ありがとうございました!
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