2026年度イベント報告
| 2026/7/15 | |
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| 2026/4/11 | |
2026年度同志社大学グローバル地域文化学会小規模講演会「ペルー政治は安定に向かうのか?大統領選挙の結果と新政権の課題」を開催しました
2026年6月の大統領選挙決選投票で、日系人のアルベルト・フジモリ大統領の娘ケイコ・フジモリが得票率0.27%の差で当選した。ペルーでは2016年以降の10年間で大統領が7回交代するなど近年政治が不安定な状態が続いており、新政権は政治の安定と経済の成長を実現できるのかが問われている。
このようなペルーの政治状況について、日本のメディアは断片的な報道しかしておらず、理解を深めるのは難しい。そこで日本におけるペルー研究の第一人者である京都大学の村上勇介教授に、近年のペルーの政治経済状況、2026年総選挙の結果、そして今後の課題について聞いた。なお本講演会は、同志社大学ラテンアメリカ研究センターとの共催で実施した。
他のラテンアメリカ諸国と比較して、ペルーには全国規模の政党が少なく、多党化の傾向にある。この理由として、1970年代までに結成された主要政党が参政権の拡大によって増えた有権者を包摂できなかったことや、政権を担ったものの経済危機やテロの拡大で国民の支持を獲得できなかったことが挙げられる。
1990年代以降の政権は新自由主義改革を導入して経済の安定は達成したものの、貧困や格差の問題は十分に解決できなかった。これに対して他のラテンアメリカ諸国では貧困や格差の解消を訴えた左派が台頭して政権を握った。しかしペルーでは、テクノクラート(専門的知識を備えた官僚)、経済界、マスメディアの「鉄の三角形」が新自由主義を擁護したことで、新自由主義路線が維持された。
この体制が崩れたのが2010年代後半である。テクノクラートの民間への流出、ブラジルのゼネコン、オデブレヒトによる汚職の発覚、SNSの普及によるマスメディアの影響力低下により、「鉄の三角形」が弱まった。さらにコロナ禍による被害の拡大で政府に対する不信が高まり、短期間に大統領が交代する事態に陥った。
今回の選挙で最大の争点となったのは治安問題で、組織的犯罪に対して力で対抗することを主張する右派に有利な選挙戦となった。しかし現在でも農村部における貧困の問題は深刻であり、治安改善や経済成長に加えて、貧困・格差の是正が新政権に求められている。
2026年度同志社大学グローバル地域文化学会小規模講演会「LSC学術ワークショップ:戦争記憶継承の語り―世代と国境を超えて―」を開催しました
2026年4月11日(土)13時から18時30分に、良心館106教室にて、「LSC学術ワークショップ:戦争記憶継承の語り―世代と国境を超えて―」(LSC [Language, Stance & Cognition] Workshop: Narratives of War Memory Transmission Across Generations and Borders) が開催されました。本講演会は、戦争の苦難に対する世代間共感性を生み出す語りの構造と背景を議論することを目的とし、国際学術ワークショップとして英語で開催されました(一部通訳あり)。戦後80年を経て、戦争記憶を維持・共有する機会や動機が縮小し、記憶の変容や風化の危機が生じています。また、他国の史実認識の共有はいまだ容易ではありません。本ワークショップでは、戦争未体験世代に継承される語りを通じて、先代の苦難の記憶がどのように再構築され、集合的記憶として共有され、次世代に影響を及ぼすのかを、国内外の調査結果および言語的側面から検討しました。さらに、「世代を超えるだけでなく、国境をも超えて共感を育む」という視点から、遠隔地の人々の痛みに心を寄せる共感のあり方についても考える機会となりました。
プログラムは、「サハリンから北海道へ:二つの立場からみた戦時記憶継承」(井上拓也・立命館大学言語教育センター嘱託講師)、「沖縄における史実継承の現状」(林智昭・名桜大学国際学部准教授)、「知覧特攻から80年を経て:語り部継承と親族間継承」(足達謙・筑波大学附属視覚特別支援学校教諭, 元世界盲人連合日本代表)、「イスラエルと日本における第二次世界大戦の世代間証言の語り構造」(Bracha Nir・Associate Professor, University of Haifa, Faculty of Humanities, Department of Hebrew Language)、「満州引き揚げの語り:戦争記憶継承の語り構造とスタンス」(﨑田智子・同志社大学グローバル地域文化学部教授)から構成されました。国内外の多様な継承のあり方を紹介するとともに、50代〜90代までの直接・間接経験者を含む第1世代から第3世代の語りを提示し、比較可能な資料や分析結果が示されました。また、制度的語り部継承と親族間継承の実態についても比較が行われました。
言語学的観点からは、語りの構造、語彙、スタンス、記憶、認知といった多面的側面に基づき、時間・空間を超えて語られる複雑な語りの分析が提示され、地域やテーマの違いを超えた共通性と差異、さらには言語を超えた普遍性や言語差について検討が行われました。これにより、社会歴史的背景を踏まえつつ、人間の心理・認知・言語のメカニズムに基づいた、世代や国境を超えて共有され得る共感の基盤について議論が深められました。一方、社会歴史的観点からは、集合的記憶の構築における制度的要因や家族内継承との相違、調査対象者の抽出基準、加害国・被害国の問題、国家と一般市民の立場の差異などについて議論が行われました。まとめとして、語り手および継承者のスタンスが語りの構築や受容に与える影響の重要性が確認されました。来場者の方々を交え、英語で活発な議論が行われ、グローバルな視点から多様な意見が交わされました。ご来場の皆様に深く感謝申し上げます。
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